オモ写真家インタビュー

【第5回オモ写箱インタビュー】うせださん

オモ写クリエイターへのインタビューを通してオモ写の魅力を掘り下げようといういこの企画。

今回は前回のゲスト「Mr.Sさん」さんに紹介頂いた「うせださん」にインタビュー致します!

前回の記事はこちらから♪

レゴエニ(以下:レ):こんにちは。今日はよろしくお願い致します!

うせだ(以下:う):こちらこそ。今日はよろしくお願い致します。

レ:早速ですが、簡単な自己紹介をお願い致します。

う:はじめての方は初めまして。うせだと申します。アクションフィギュアを撮影しています。紹介して頂きありがとうございます。

レ:前回のMr.Sさんからは、「技術と趣向をこらした作品に毎回度肝を抜かれる巨匠」と紹介されていますが、いかがでしょうか?

う:巨匠だなんて大それたものじゃないです(汗)むしろMr.Sさんの方がライティングや構図、最近では塗装改造もお手の物になっているので逆にこちらが度肝を抜かれていますよ(笑)

フィギュアの姿を残したくて父親のコンデジで

レ:フィギュアの写真を撮り始めたきっかけは何でしたか?

う:前回のMr.Sさんとかぶるのですが、「可動フィギュアのポーズを保存したかったから」ですね。 

レ:色んなポーズのフィギュアの姿を残しておきたかったということですよね?

う:そうです! それで最初は父親のコンデジを借りてました。元々玩具レビューブログを運営していまして、Twitterに投稿を始めたのが3年ほど前になります。

レ:初めて撮った写真があれば見せて頂けないでしょうか。

う:父親のコンデジで撮った写真はきちんと残っていないのですが、今の一眼で初めて撮ったフィギュア写真はこちらになります。

レ:初めてとは思えないんですが、いつ頃の写真ですか?

う:5年ほど前になりますね。

レ:すごい!やっぱりセンスのある方は最初からすごいんですね!

う:いやいや、、とんでもないです。恐縮です。。

最愛は仮面ライダー鎧武シリーズの「S.I.C.」

レ:作品では仮面ライダーをはじめ様々な被写体を撮影されていますが、どのような被写体が好きですか?

う:実は、ねんどろいどやガンダムやら、仮面ライダー以外にもいろいろと集めてるのですが、やっぱり手になじむのが15㎝のフィギュアかなと思っています。

レ:撮影にしろ遊ぶにしても適度なサイズ感ですよね。

う:そうです!最近では部屋撮りも始めたのですが、そういった日常生活に絡められるサイズ感がいいですよね。

レ:なるほど。

う:あとはかっこよく撮りたいというのがあるので、ヒーロー系の被写体がお気に入りです。

レ:その中でも特にお気に入りというのはありますか?

う:仮面ライダー鎧武シリーズが好きなのですが、そのなかでも「S.I.C.」という、アレンジの加わったブランドがありまして。

レ:特に造形などの芸術的な美に焦点を当てたシリーズですよね。

う:そうです。これが本当にかっこよくて気に入っています。なので、普段はフィギュアーツの写真が多いのですが、S.I.C.となると専ら彼らの写真を撮ることが多いですね。

レ:一番のお気に入りの写真もS.I.C.のシリーズですか?

う:そうですね(笑)S.I.C.仮面ライダー鎧武 カチドキアームズの写真なのですが、手に入れるのが難しくフィギュアそのものに愛着があるのと、加湿器を用いた炎の表現が初めて出せた写真なんです。

レ:すごい!背景にある加湿器の煙が燃える炎にも見えて、ポージングと合わせて、フィギュアの世界観にすごくマッチしていますね。

う:ありがとうございます。ここから加湿器が僕のお供もになりましたね(笑)

レ:前々回のIKOLさん、前回のMr.Sさんといい加湿器好きの男子がフィギュア界には多いですね。

う:そうですね。加湿器は大切です(笑)

レ:ところで、前回のMr.Sさんからの質問なのですが、「これまでの作品の中で一番難しかった、苦労した作品」は何でしょうか?

う:うーん、、こちら(S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーエターナル)の写真ですね。

 

レ:これは・・・!?

う:仮面ライダーばっかりですみません(笑)

レ:あ、そうではなくて、構図が読めないのですが、影がないので浮いているんですか?

う:そうなんです。本体を浮かせた上に、まわりに26個のアイテムを浮かせるのはなかなか骨がおれました。

レ:被写体を浮かせた撮影は、撮影の時もその後の加工も色々と手間がかかると思うのですが、この写真ではなぜ本体だけでなく周りのアイテムも浮かせようと思ったのですか?

う:それは、浮かせることで周りのアイテムをフィギュアの頭上や背後、 手前に置いたり、角度を調整することができ、より立体的な構図を作れるからです。

レ:なるほど。

う:この写真で言えば、真ん中の仮面ライダーが回りのアイテムを一度に全て使うシーンがあるのですが その場面を連想させるような写真を撮りたかったので、このように一度にたくさんの小物を浮かせることにしたんです。

レ:床に置くのとは立体感が違いますもんね。

う:はい。それに、ブースの床に直接置く方法だと、縦構図というスペースの問題もあるので、余白に所せましと並べるように浮かせて、何度もファインダーと被写体(フィギュア本体・小物)の調整を行う方法でいきました。

レ:これだけ全ての被写体をバランスよく構図に入れるのは相当の微調整があったんだと思います。

う:そうですね。なかなか大変でした。

レ:この写真や先ほどのお気に入り写真も含めて、僕はうせださんの写真は被写体が何であれ、人を惹きつける「煌びやかさ」、「華」があると感じています。

う:ありがとうございます。写真が色っぽいとか、エロい(笑)とか、言われることがあるのですが、、、

レ:(笑)

う:僕が立体感を強調したライティングが好きだからなのかなと思います。側面や逆光で輪郭を照らしたり、編集では明瞭度を上げてディテールが際立つようにしています。

レ:明瞭度を上げると、輪郭を中心に明暗差が強調されて、エッジが際立ちますもんね。

う:実は艶や反射の抑えた「しっとり」と表現されるライティングが苦手なんです。

レ:そうなんですか?それも意外です。

う:だけど、それを持ち味とし、今では逆に光沢や、時には光を直射してフィギュアの立体感を際立たせ、レゴエニさんの仰るような「煌びやかさ」に繋がれば嬉しいです。

クロスオーバーはフィギュア撮影ならではの楽しみ方

レ:また、一枚の写真の中に、かなり多くの被写体を入れて作品として仕上げてしまうのも、うせださんの特徴だと思うのですが、たくさんの被写体を並べる時に意識していることはありますか?

う:集合構図ではなるべく個性が出るように一体一体違うポージングをしたり、ピントを変えた写真を複数枚合成することで、それぞれの顔がぼやけないようにしています。

レ:やっぱりピントの合った複数の写真を合成されてるんですね。

う:そうですね。それから、世界観というと大げさですけど、歴代のキャラクターを並べたり、クロスオーバーさせたりというのはフィギュアならではの楽しみ方だと思っています。

レ:フィギュア撮影の醍醐味の一つですね!

う:はい。あとは、そのキャラらしさ、というのは難しいのですが、なるべくそれが損なわれないように意識しています。

レ:フィギュアの元々のキャラクターを尊重するということですよね。

う:はい。ただ、ネタ写真で崩壊させてしまうこともありますけれども(汗)

レ:それはそれでいいと思います!(笑)

加湿器と100均のアイテムがオススメ

レ:普段はどんな場所で撮影されていますか?

う:撮影部屋にした納戸で撮影しています。

レ:いいですね。撮影スタジオですか!

う:納戸ですよ(笑)こんな感じです。

レ:大好きなコーラが映っていますね(笑)

う:(笑)撮影の被写体はこちらです!

レ:相変わらずコーラが大量に映っていますね(笑)ところで、撮影に使っているカメラやレンズはなんですか?

う:カメラはCanonのEOS 70D。レンズはマクロ(EF-S 60mm F2.8) を多用していますが、集合図などパースがほしい時は広角レンズ(EF-S 15-85mm)を使っていますね。

レ:マクロレンズと広角の併用だったんですね。光源は?

う:光源はここ一年半ぐらいはストロボ二台(canon純正 430-ExⅢRT)で落ち着いています。

レ:撮影には使っている何かオススメのアイテムがあれば教えてください!

う:加湿器と、メカニカルチェーンベースがあると雰囲気づくりに役立ってくれます。

レ:なるほど。

う:あとは撮影に使う小物の固定に100均のマルチフリーパネルとクリップの組み合わせが便利ですね。

(写真被写体を囲んでいる乳白色の板がマルチフリーパネル、そこから伸びているのがクリップ)

レ:なるほど!こうやって小物を固定されているんですね!素敵なアイテムの紹介をありがとうございます。

う:どういたしまして!100均で買えるものなので試してみてください!

レ:撮影する時にこだわっていることがあれば教えてください。

う:ポージングです。

レ:撮影しながら微調整する感じですか?

う:そうですね。立ち姿では顎の引き、腰の入れ方、両脇の開き具合…パンチやキックポーズでは振りだした拳(足)の向きだけでなく、目線やアングルにもこだわってかっこよくみえるように何度も調整しています。

思いついたアイデアを写真にする楽しさ

レ:作品を作る過程(被写体の購入~撮影~加工~投稿)で、一番楽しい時、ワクワクする時はどんな時でしょうか。

う:通勤中、帰宅中にふと写真のアイディアやネタが思いついた時は早く撮りたくてウズウズしています(笑)。

レ:アイデアが浮かんですぐに実行できない時はもどかしいですよね。

う:はい。それで実際に撮影できる環境に行って、背景を設置して、被写体を置いて、ライティングを調整して、アイディア通りに写真にするのは難しいのですが、うまくいった時は本当に楽しいです。

レ:頭の中でのイメージが実際に形になった時はなんとも言えない楽しさ、達成感がありますからね。

う:そうです、そうです。その時が一番ワクワクしてると思います。

フィギュアメーカーに洗脳された夫婦

レ:奥様である飴しばさんも同じくフィギュア撮影をされていますが、元々おなじ趣味をお持ちだったのでしょうか?それとも、途中からどちらかが上手く洗脳(笑)に成功したのでしょうか?

飴しばさんの写真

う:二人とも元々フィギュア「収集」という共通の趣味を持っていました。

レ:そうだったんですね。

う:はい。ただ、撮影の方は、最初はTwitterなどもやっておらず、メディアにあげることもあまりなかったのですが、身内でフィギュア写真を見せ合ったりというのはしていました。

レ:では、どちらかが上手く洗脳した訳ではないんですね。

う:そうですね。強いていうなら二人ともフィギュアメーカーに洗脳されてましたね(笑)

レ:普段の撮影は一緒にされているのでしょうか?

う:別々に撮影していますが、撮りたい日や時間が被った時は、時間を決めて撮影したり、順序を決めたりと二人で調整しながらブースを共有しています。

レ:フィギュア撮影という趣味が奥様と一緒というのは素敵なことだと思うのですが、奥様と一緒の趣味で嬉しいことはなんでしょうか?

う:二人で全く違う作風の写真を身近で見せあえることが魅力だと感じています。また、投稿前の写真について相談しあったり、フィギュアや撮影に使う背景や小物の共有ができるのも嬉しいですね。

レ:フィギュアの撮影に限らないですが、好きなことを共有できるというのは嬉しいですよね。逆に困ったことは何かありますか?

う:困ったことは、お互いに片づけをしないのでブースがどんどん散らかっていくことです(笑)

レ:それも素敵な悩みだと思います!フィギュア撮影をしている多くの方に対して、家族や恋人の理解を得るために何かアドバイスがあれば教えてください。

う:恋人や家族の了承あってこその趣味であると僕は考えています。

レ:そうですよね。

う:フィギュアを置く場所であったり、撮影をする時間帯であったりをきちんと話し合ったうえで楽しんでいければいいのではと思います。あまり参考にならないかもですが・・・。あとは、趣味にのめりこみすぎて家庭のことを疎かにしないことですかね(汗)

レ:周りの人の理解があるからこそ長く続けられますからね。

お気に入りの3名と次回のインタビューは?

レ:さて、そろそろ終盤になってきました。この辺りで、うせださんの好きなオモ写クリエイター3名とその理由を教えてください。

う:まずは僕を紹介してくださったMr.Sさん

う:IKOLさんも仰っていたのですが、余白やポージング、色使いから溢れ出る彼の写真の「空気」感は本物です。写真だけでなく、フィギュア改造もストイックにこなしているのが本当にすごくて、そのたびに刺激を受けています。真似はできないんですけど、頑張ろうという気になりますね!

レ:前回インタビューさせて頂きましたが、ポージングや影の映り方、空気感などの全ての要素が「クウガへの愛」に向けられていますよね。

う:二人目の方ははねんどろいどのカービィや初音ミク、ポケモンなどを撮られている京(みやこ)さんです。

う:お花見を楽しんだり、室内でわいわい食事をしているフィギュア達が本当にいきいきとしていてとにかく可愛いです。僕のタイムラインではかっこいい写真が流れることが大半なのですが、京さんやほかのねんどろいどユーザーの方のかわいい写真がふいに流れてくることがあり、時々清涼剤のように思えます(笑)

レ:色使いや光の入れ方がカワイイですよね。見ていて本当に癒されます。

う:三人目の方はディケちゃん〒さんです。

う:なんとこの方は撮影に本物の炎や爆竹を使われたり、時には(保護した上で)フィギュアそのものを燃やされたりと、規格外のオモ写をされているんです。僕は初めて彼の写真を見た時目を疑いました。

レ:本物の炎や爆竹なんですね!

う:そうなんです。僕も加湿器や霧吹きで色々なものを表現しようと頑張っているのですが、本物には敵わないといつも思い知らされます(笑)

レ:それはアプリでの加工等にも言えますが、やっぱり本物には適わないんですよね。

う:そんなわけで、僕もとっても興味の湧いているディケちゃん〒さんにバトンを託したいと思っています!撮影の裏側や、特撮をはじめたきっかけなどなど、聞きたいことがもりだくさんなので、インタビューを通じて知ってみたいです。

レ:なるほど、そのあたりはぜひ伺ってみます。

う:爆破や炎上といった特撮技術はもちろん、それをフィギュア撮影に活かそうとする姿勢にはある種の覚悟のようなものが存在していると考えています。

レ:技術だけでなく、それを使う姿勢の裏にある思想や覚悟ですね。とても興味のある内容です。

う:他にも撮影に関して、フィギュアや、住宅環境、家族の理解など、気を付けている点があればお聞きしたいです。また、「これは一番!」と思えるような特撮フィギュア写真もあればぜひ知りたいです!

レ:承知しました。素敵なインビューとなるように頑張りますね!

自分の気持ちをレンズ越しに表現する醍醐味

レ:最後になりますが、うせださんにとって、フィギュア撮影(オモ写)とは何でしょうか?

う:自分を表現できるものだと思っています。フィギュアと小物、背景の組み合わせや、ロケーション(ほとんど家の撮影ブースですが・・・)、シチュエーションを妄想して、自分の思っていたものをレンズ越しに表現できるのがフィギュア撮影の何よりの醍醐味だと考えてます。SNSを通じ世界にむけて「自分はこのフィギュアでこんな写真を撮ったよ!」と発信するのは、これ以上ない自己表現なんじゃないのかなと思います。

レ:そうですね。写真を通して自分の気持ちを共有・共感できるのが醍醐味ですよね。

う:はい。そうだと思います。

レ:それでは、最後に一言お願いします。

う:このような形で紹介してくださったMr.Sさん、そしてレゴエニさん。ありがとうございます。自分の写真についてここまで考え込んだのは初めてのことで、良い振り返りの機会になりました。今後も好きなフィギュアを好きなように、自分なりの方法で表現していけたらなと思っています。頻度は落ちるかもしれませんが、引き続き楽しんでいきたいと思います!

レ:これからも、うせださんのペースで素敵な写真を届けて頂けたらと思います。今日は素敵なインタビューをありがとうございました。

う:こちらこそ、ありがとうございました!

【うせださんのSNS】

twitter: うせだ 

Web:figure.sub.jp

これまでのインタビューはこちらから!

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